※今日あった出来事を今日は小説風に書いてみました。拙い文章なので、苦手な方はご遠慮ください。

今日だけは特別

普段しないことをしてみよう。

長い横断歩道の中、安全地帯にいた私

視線を下げると、鍵が二つ、縁石の上に置いてあった。

ゴツゴツとしたその鍵は、どうやら車のキーのようだ。

誰か優しい人が、分かりやすいようにそこに置いたんだろう。

あれ？

そこで私は首を捻った。

先程私が通った、この長い横断歩道の目の前に交番がある。

そこに渡した方が確実に持ち主の元に届きそうだけれど・・・。

その鍵の目の前を横切った瞬間、ふと昔のことを思い出した。

高校生の時、トイレに携帯を忘れたことがあった。1時間もしないうちに取りに行ったけれど、携帯はなく、お店の人も、警察にも届けられてないという。防犯カメラを見て欲しいと訴えたりもしたが、誰も相手にしてくれなかった。

鍵を手に取り、先程通ったばかりの信号へ向き直る。

「お巡りさん！これ、落とし物です」

普段は絶対にしないこと。

でも、今日は特別にしてあげよう。

あの時の私の携帯は戻ってこなかったけれど、この鍵はきちんと戻してあげられるように。